一人称が変わります

この世の果てなんか探したくない

 本当はずっとここに留まっていたい、と常々思う。ずっと前から考えている。高校生の頃から。どうせ終わるんだとさっぱりと答えていたけれど、なによりも執着していた。変化にうまく適応できないことを誰よりもわかっていたから。

 

「ともだちいないんですよ〜」なんて言って、僕のことを友達だと思っている人を傷つけ続ける。友達って何って考えすぎなんじゃないの?みたいなこと言われると、本当に、じゃあどうしたらいいんだ、みたいな。そんなに誰も信頼できないままなのに、家族のこととか簡単に言えてしまう。

 オープンな性格だよね、と言われて、「あはは、そうだな、わたし、オープンですよね」と答えるのがすごく得意だ。実際前まで自分はオープンな人間だと信じて疑わなかった。本当にそうだと信じていた。自分は相手に開示しているのに、どうして相手はあんなにも隠し続けるんだろうか、とか無責任に。本当に、最低すぎる。

 

 本当は心から友達だとか声を大にして言いたかった。でも、こんなふうに揺れ続ける自分という存在に対して友達として関係を続けてくれる、命綱を一緒に使うような存在を作るのが怖くて仕方がないのだ。と思う。なにより、周りの望む「友達」であることができないから。

 

 この世の終わりが早くきて欲しいと思った。

 

 世界の果てに行きたい、宇宙の果てに、と常に口にしているし、書いた詩にも時々出てくる。でも本当は世界の真ん中にいたいし、宇宙のど真ん中で好きな音楽を流して、好きな本を読んでいたい。宇宙の果てにひとりでなんていたくないに決まっている。でも、それしかないから、ひっそりと、この宇宙の終わりを一緒に抱きしめるために、宇宙の果てに、この世界の果てに、この世の果てに、行きたいし、いたいのだ。僕はそこで、愛した人間の死を待ちたかった。僕が永遠に行けない場所にいく誰かを眺めて、苦しみをずっと抱えていたかった。それが罰だと思ったし、僕が唯一誰かをずっと傷つけずにいられると、信じて疑わなかった。今も疑わないように、薄氷の上を歩いている。下は、全てを溶かす海だから。落ちてしまえば、僕はきっと死んでしまう。波間に生まれては消える泡のように。泡沫、なんて美しい名前はいらない。ただ、死ぬんだ。宇宙の終わりも知らず、果てを見ないまま。

 

 本当は探したくなんてない。いつか誰かが愛してくれるんだと信じて、湖畔のそよ風を浴びて、好きな本を読みたい。夏の夜に大きなスクリーンを張って、好きな映画を観たい。

 

 何よりも誰よりも、この世界に執着しているんだ、と思う。全ての人間の頬に口付けをする美しい風を、肺に沈めて、オリオン座を眺めた。いつか星になりたい。宇宙の果てで。

 

 

2022/12/12 01:16